GJ部を見てください

令和元年も残すところわずかとなりました。今年も素晴らしいアニメがたくさんありましたね。今期のおすすめは星合の空とバビロンです。ぬるぺたも80分足らずで全話見られるので見てください。

 

それはさておき、突然ですがみなさんはGJ部というアニメをご存じでしょうか。2013年冬に放送されたゆるふわ日常部活モノアニメです。主演の内田真礼さんはこの記事を書き始めた前日に誕生日を迎えられ、三森すずこさんは今年オカダ・カズチカさんと結婚されました。おめでとうございます!

 

夜遅くまでCoDの殺伐とした戦場に身を置き、汚れ荒み切った心身を抑え込もうとゲームを落とし、テレビに切り替えた途端に目に映りこんできたユートピア。それが僕とGJ部との出会いです。途中からは心を癒すためにGJ部を見るのではなく、GJ部を見るためにゲームをしていました。

 

そんな僕の思い出話に興味はないと思うので、さっそくですがGJ部について話します。が、まず初めに断っておくと、僕自身この作品をTVシリーズ+OVA+OVA付属特典でしか知らないので、解釈違いが起きることが予想されます。その時は波風を立てず穏便にSchool Days最終話を見て我慢してください。原作はお金に余裕ができたら読みます。

 

このアニメは四ノ宮京夜という男子高校生がGJ部という何をするでもない部活動で、部員の女の子にいじり倒される日々を送るという話です。が、恋愛モノではなく、ハーレムモノでもなく、ギャグアニメでもなく、まさに日常モノ、部活モノアニメです。

 

このアニメの魅力は3つあります。

1. キャラクターがひたすらに可愛いこと

2. どこまでも日常系であること

3. OP, ED, Cパートに遊び心があること

4. 1クール+OVAで完結しきった物語であること

特に4がとても重要です。3は演出上の重要なネタバレを含むため、これから見る人は注意してください。

 

1. キャラクターがひたすらに可愛いこと

 

日常系アニメですからね。キャラクターは非常に大切です。

キョロ(四ノ宮京夜 CV : 下野紘(当時32歳))

部長(天使真央 CV : 内田真礼(当時23歳))

しおん(皇紫音 CV : 三森すずこ(当時26歳))

めぐみ(天使恵 CV : 宮本侑芽(当時16歳))

きらら(綺羅々・バーンシュタイン CV : 荒川ちか(当時13歳))

タマ(神無月環 CV : 上坂すみれ(当時21歳))

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緑髪 : タマ, 紫髪 : しおん, 金髪 : きらら, 茶髪 : 部長, ピンク髪 : めぐみ, 中央 : キョロ

 

このアニメはキョロを中心に進行します。GJ部のメンバーはみんなキョロのことが好きです。しかし、ここの好きは恋愛感情ではなく、友達として、と言うのも少し違います。1番近いのは部活の先輩と後輩の関係ですね。キョロから見るとめぐみちゃんが同級生、タマが後輩、あとの3人が先輩にあたるので当然と言えば当然なのですが、キョロをはじめGJ部員同士の接触には、必ず相手を慕う気持ちが感じ取れます。これは言葉では表現し切れないので本当に見てくださいと言うしかありません。見ろ。

 

まず部長。CV内田真礼(敬称略)の元気っ子。身長138cm。往々にして横暴で、しょっちゅうキョロに噛みついたり蹴りを入れたり、ほぼずっと部室のカットしかないこの作中で暴れまわり作画リソースを喰らいつくします。喜怒哀楽が顕著に表れるキャラですが、どの感情の際にも必ず安堵の気持ちが入っているように感じられます。1番キョロをないがしろにしているように思える部長ですが、第3話でからかわれすぎて拗ねるキョロに対し、逆に拗ねて泣くのが部長です。内田真礼の喜怒哀楽全てを同時に表現したような演技が素晴らしい瞬間です。このアニメの第1話のAパートは部長が椅子に登って蛍光灯を変えようとするところから始まるのですが(全く届いていない。可愛い)、キョロが手伝おうとすると「だめだ。これは部長の仕事だ」「不可能だろうと何だろうと、私がやるったらやるのだ」と、先代の部長から任された仕事を完遂しようとします。OVAでも著しくそうなのですが、最もGJ部のことが大好きで、GJ部の掟を重んじます。

 

次にしおんさん。純度100%の三森すずこで、もはや有毒とさえ感じられます。誰に対しても対等に接する優等生ですが、度々キョロやタマに対してお姉さんな態度を取ります。彼女はGJ部6人の中で唯一弟や妹がいないため、そういった憧れを持っています。常識欠乏症で、カップラーメンやハンバーガーの食べ方や缶コーヒーの味わいなどをしらないといった属性もあります。部長がタマにネコミミカチューシャを着けさせようとした際、タマがネコミミを付けたら凶悪的に可愛いと言うキョロの言葉を聞き、勝手にネコミミを奪いつける瞬間がものすごく可愛いです。第2話で「恋とかそういう気持ちが私はよくわからない」と言っておきながら、1番キョロに対して恋愛に近い感情を抱いているように見えます。可愛いエピソードを部長と同じくらいたくさん持っていますが、それをここに書き連ねるのは卒論を完成させる以上の労力になるのでこれくらいにしておきます。

 

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しおんさんのおちゃめポイント

 

そしてめぐみちゃん。CV宮本侑芽のテレビアニメ初主演作品がGJ部で、このときは16歳。純真無垢で穢れのない甘い声というとんでもない声が特徴。恐ろしい。真央の妹で、多くのセリフからお姉ちゃんのことが大好きであることが感じられます。また、聖羅という妹とも仲が良いです。京夜にキョロというあだ名をつけた本人ですが、キョロのことをキョロとは呼ばず、四ノ宮君と呼びます。入れた紅茶をキョロが飲んでくれるのが楽しみで、キョロがいない際には他のメンバーがいても、「お茶を飲んでくれる人がいないじゃないですか」と落胆する場面も。最終話では卒業式の後の夕暮れの部室で、最後に会いに来なかった部長の態度に寂しさを覚えるキョロに対し耳元で「恥ずかしかったからなんですよ」と囁き、背中合わせに「お姉ちゃんが四ノ宮君と二人きりにならなかったの、あれって恥ずかしかったからなんです」「ドントではなく、キャントです」と言う場面が最も印象的です。お姉ちゃんの話をしているのになぜかヒロイン力を爆発させるんです。誰も勝てない。

 

さらにきらら。CVはOPを歌う乙女新党のメンバー(当時)の荒川ちか。このとき13歳。え?13歳?きららは180cmのGJ部ネコ科の肉食系留学生。話す時はカタコトだけれど、義妹ジル同様に文書で会話をする際は流ちょうな日本語を使います。いつも一人でお肉を食べており、絶対に他人に肉を譲らないのですが、キョロだけには肉を分け与えます。しおんさん曰く「哺乳類の内、群れを作る種では上位の個体が回の個体に餌を分配する。つまり、彼はきららにとって保護対象とみなされているわけだ」ということです。さらに、部長が肉を横取りし「じゃ私なんか部長だ。いっちゃん偉いぞ。よって肉の分配を決定する」と言うと、部長から肉を取り上げます。きららの中では部長は偉くなく、保護対象でもないんですね。キョロに風邪を移してしまった時はしゅんとして、キョロから風邪を移されることでキョロの風邪を治そうとします。トラと戦ったことがあると言い、阪神タイガースの大ファンです。ネコとも会話します。このとき、キョロに「きららの家にはテレビないんですか」と聞かれ「ここにあるよ」と答えています。GJ部はきららの家なんですね。

 

最後にタマ。CVは上坂すみれで、非常にあざと可愛い声をしています。初登場は第7話で、それまでのOPでは後ろ姿しか映らないのですが、以後のOPでは振り返り、他メンバーと一緒に踊ったり写真に映ったりします。1番後輩ですが、非常に生意気な言動をします。が、口調はですます調で、本人的には先輩を敬っているらしく、みんなに愛される後輩です。非常に大食いで、お菓子やめぐみちゃんの作るケーキをバクバク食べますが、本人曰く太らない体質で、体重を気にするめぐみちゃんからは敵視されています。弟と妹が何人かいて、家だとおやつを独占できない背景があります。実家が神社で巫女をしていますが、お医者さんごっこの時のナース服姿もヤバいです。ヤバいです。部長にネコミミを着けさせられそうになった際、頑なに断りますが、キョロの「可愛いと思いますよ」「タマが本気を出したら凶悪すぎますよね。可愛すぎて生きているのがつらくなりそうです。だからやらない方がいいのかな」という言葉に、ネコミミを着ける決心をします。しおんさんに取られましたが。妹が欲しいしおんさんには特に可愛がられていますが、本人は撫でられると迷惑なご様子。

 

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タマで妹成分を補給するしおんさん

 

おまけにキョロ。唯一の男子キャラでハーレム状態ですが、CV下野紘の飛びぬけた演技力もあって、非常に憎めないキャラです。めちゃくちゃ美味しい目に遭っているのにこれほどまでに許せるキャラ、他にいないでしょう。見てもらった方が早いので見ろ。か弱い男子で、GJ部の部室の前の廊下を歩いているところを捕獲され、強制的に入部させられましたが、GJ部を非常に大切に思っています。普段の一人称は僕ですが、俺マンというキリっとしたキャラクターを演じたり、女装させられてまんざらでもないという一面を持ちます。ブラッシングが得意で、GJ部メンバーはもちろん、妹の霞や天使家の最強メイド森さんまでもを篭絡します。非常に受動的なところがみんなから好かれるんですね。めちゃくちゃ可愛い女の子がたくさん出てくるアニメなのに、彼女らに負けないくらい可愛いです。下野紘、可愛い。

 

 

他にも、天使家のメイドの森さんや、キョロの妹霞、天使家末っ子聖羅、きららの義妹ジェラルディンといったキャラが出てきますが、すでにとんでもない文量になってしまったため割愛します。

ちなみに霞役木戸衣吹は当時15歳で、聖羅役諸星すみれは当時13歳、ジェラルディン役葵わかなは当時14歳と驚きの若さ。

 

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天使家侍従の森さん。キョロの趣味に合わせて登場のたびに回ってくれる。

 

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左から聖羅、霞、ジェラルディン(ジル)

 

2. どこまでも日常系であること

 

キョロ曰く「イベントを楽しむのがうちの部の伝統じゃなかったんですか?部活動しましょうよ」とのことで、GJ部という部活が何をする部活なのかは明らかにされていません。GJ部は12話+OVAですが、部室以外でのシーンはほとんどありません。TVシリーズ中は駅前やファミレス、四ノ宮家や天使家でのシーンがわずかにあるくらいでしょうか。OVAではNYに行きますが、NYに出現したGJ部部室から出たシーンは描かれず、後半も駅前や雑貨店、公園、校内くらいです。じゃあなにするの?っていうのは、みんなでキョロをいじったりタマをいじったり、めぐみちゃんが淹れた紅茶を飲んだり、あるいは同じ空間にいるだけで個人で読書、チェス、食事等に勤しむのがメインの活動になっています。同じ時間、同じ空間を共にするのがGJ部なんですね。部活というよりは、友達の家にみんなで集まったり、自宅で家族を背に趣味に没頭する、という生活に近いです。ギャグや恋愛、人間関係のごたごたなどの事件があるわけではないのですが、この光景が微笑ましく、そして尊く感じられるのです。ただ、前述の通りGJ部はイベントもあります。部室で水着になってはしゃいで、夕方は浴衣で夏を満喫したり、バレンタインにキョロにチョコをあげたりあげなかったり。他にGJ部の活動で印象的なのは、いろんな衣装を着ることですね。前述の水着や浴衣はもちろん、メイド服、執事服、動物コス、巫女、学ラン、ハロウィンコス、アメリカンコスなど、場面場面でいろいろな衣装が見られます。ありがとう動画工房

 

3. OP, ED, Cパートに遊び心があること

すでにアニメの内容に多分に触れていますが、ここは演出上重要なネタバレになってしまうので、注意です。

OPやEDの描写が途中から変わる、あるいは特殊OP、特殊EDがあるアニメはそう珍しくもないと思いますが、このアニメはEDとCパートが特殊です。

OPに関して言えば、第7話登場時まではタマが後ろ姿しか見せないのが、振り返り、随所に描かれることくらいですね。曲は乙女新党の「もうそう★こうかんにっき」です。ちなみにきらら役荒川ちかと妹ジル役葵わかなは乙女新党のメンバーです。

EDはなんと4種類(+OVA1種)もあります。最初の2話は部長とめぐみちゃんが歌う「I wish ~ときめきの魔法~」。デフォルメキャラの2人が踊るアップテンポで元気な曲です。めちゃくちゃ可愛い。次の2話はしおんさんが歌う「balance unbalance ~ホントウ ノ ワタシ~」。この曲はヤバいです。ヤバいです。マジでヤバいです。これは聴く曲ではなく見る曲なので、ぜひ映像と共に視聴してください。次の2曲はきららの歌う「Purely Sky ~私だけの空~」。構成としては雨の中を歩くきららが音に合わせてステップを刻んだり、回ったり、傘を回したりとなっており、原画をそのまま繋げたような動画なんですが、それゆえにインパクトのある激しい動画になっています。残りは部長、めぐみちゃん、しおんさん、きららの4人で歌う「走りだそう!」。萌え萌えですよ(タマ風)。OVAは部長、めぐみちゃん、しおんさん、きららに加え、タマの5人が歌う「広がれパワー」。GJ部式卒業ソングです。GJ部を卒業しても絆は繋がっているといった趣旨の歌詞になっています。最後の「信じて進もう。君が待ってる。嬉しすぎるよ。君を待ってる」で体中の水分が枯れ果て残留思念のみが残ります。曲は他に挿入歌「GRADUATION COLOR」とOVAの特典に「おさんぽHOLY DAY」、その他キャラソンが多数あります。

そして、これが1番強演出なCパートですね。第1話から第11話まで、EDと次回予告の間にCパートが挿入されています。外がすっかり暗くなった冬の部室でいつも通り何もなく過ごすといった内容です。これは第1話から第11話まで一続きの話を11分割して配置したものなのですが、なんと最終話のアバンに直結するんですよね。そして、このCパートがGJ部3年生の卒業式の前日最後の7分間であることが明らかになります。第11話でBGMが消える中での部長とキョロの会話がなんとも切ない。この演出により、視聴者は思い知らされるのです。GJ部は終わりを迎えるのだと。

 

 

 

 

 

4. 1クール+OVAで完結しきった物語であること

これが多くの日常系作品からGJ部を際立たせる最大の要因です。そう。終わるのです。原作的には中等部の話や回想など、TVで触れられていない話もあるのですが、TV的にはこの1クールで綺麗に終わります。

話の初めはキョロがGJ部に拉致られて、体験入部的な何かになっている状態から始まります。このときはキョロが1年生で、部長らが2年生。3年生部員はいません。部長は先代の部長から任された蛍光灯を変えようとしています。第7話で各自学年が上がり、タマがキョロ同様に拉致られて部員になっています。そして第12話で部長らの卒業式を迎えます。この時間の経過が、「長かった高校生活も気づいたら終わってしまった」という、皆が体験したであろう感覚を引き起こすのです。

最終話でキョロがしおんさん、きららにそれぞれ呼び出され2人きりになるシーンがあります。BGMなし→切ないBGMになる印象的なシーンで、先輩ともついにお別れの時が来るのだなと悟らされます。

第1話ではキョロがティーカップを割ってしまった際にめぐみちゃんが「形あるものはいつか壊れるんですから」。第7話では先代部長の言葉として部長が「あらゆる物事には始まりがあり、終わりが来るものなのだ。だからこそ輝けるものなのだ」。OVAではしおんさんが「これからもGJ部は大丈夫だね」と言い、きららが相槌をうち、真央の「まあ、ロスタイムも終わりってとこだな」という言葉にめぐみちゃんは寂しげな表情を見せます。こういったセリフにも終わりを意識した作品であることが感じられます。

部活動最後の日、あるいは卒業式という人生に幾度とないしんみりとした感情を12話でぶつけてくるのです。このしんみり感は他のアニメでは到底味わえません。

 

 

 

これで終わり......ません。初めに書きました。GJ部は部活動なんです。たびたび話の中に先代部長が登場します。「先代部長って何ですか?この生き物って生まれた時から部長なんじゃないですか?」というタマに部長が噛みつき、GJ部卒業式でキョロが「人は部長に生まれるのではない。部長になるんですね」というように、GJ部は縦に続いていきます。さらに、GJ部は永遠の絆で結ばれています。俺マンキョロは卒業生に「天使真央、皇紫音、綺羅々・バーンシュタイン。本日をもって、貴様らはGJ部部員を卒業する。だが憶えておけ。GJ部は永遠である。我々GJ部姉弟の絆で結ばれている。貴様らが、いついかなる場所にいるときであっても、我々は常に、共にある。以上」と言い放ちます。GJ部というアニメはここで終わるのですが、GJ部は永久不滅に広がり続けるのです。

 

 

 

ずいぶんと長くなってしまいましたが、どこかで終わりにしないとならないのでこれくらいに留めておきます。結局、完結するとか言っておきながら1番言いたいことはGJ部は永久不滅ということです。GJ部のコンパクトディスク、「GJ部 りぴーと!でぃすく」では第1~12話のリピート再生機能に加え、第1~11話のリピート機能がついています。さらにOVAにおいて、監督はブックレットで「GJ部にとどめをさす」みたいな言い方をしたと言っており、後半の話もGJ部から抜け出せずにいる真央の背中を押すような内容なのですが、その実、主題は「絆は、永遠」であり、EDは「広がれパワー」、ディスクタイトルは「GJ部@」(グッジョぶぐるぐる)と、終わりのない物語であることを示しています。

 

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ちなみに「さくら荘のペットな彼女」「てさぐれ!部活もの」も近い感覚になれるアニメなので、ぜひ見てください。

それでは、ごきげんよう